オーストラリア動物虐待防止王立協会(RSPCA)は、動物福祉を推進する非営利団体だ。オーストラリアは英国連邦加盟国なので、世界最古(1824年設立)の動物福祉団体王立英国動物虐待防止協会(RSPCA)の傘下となり、同じ「王立」が冠せられる。知らないひとも多いが、オーストラリアは成文上英国女王(エリザベス女王)を国家元首としているので、その英国連邦元首から承認された団体は「王立」なのだ。
オーストラリア動物虐待防止王立協会(以下RSPCA)自体もかなり古い団体で、活動は1870年代にまでさかのぼる。収入は全て寄付。ペット、野生動物、家畜の福祉、また実験動物への取り組みなどを主に行なっている。
これだけ規模が大きい団体だからできることなのだろうが、オーストラリアには「アニマルレスキュー」という長寿番組がある。現在のところ4シーズン目。RSPCAの活動を追ったドキュメンタリーで、わたしもよく観ている。
前回の話は、パピーファクトリーの実態とそこで救助された犬たちを追ったドキュメンタリーだった。
パピーファクトリーとは、仔犬工場という意味だ。
広大な牧場と言ってもいいそのパピーファクトリーには、200匹以上の犬があまりにもひどい環境で暮らしていた。半分以上の犬が妊娠中。そして、近親相姦、多妊娠、病気、怪我、異常出産など、何のケアもなくほったらかしだ。仔犬たちは主にネット上で売られるため、その親たちがどんな状況で暮らしているかを知る術はない。
ネット上の「ハッピーに飛び回る健康な仔犬売ります」という広告の裏では、毛玉と皮膚病で動くこともできない母犬がいる。RSPCAスタッフは、「これはもう犬ではないわ。ただの出産機械として生かされているのよ」と深いため息をついた。
その中の1匹ゴールデンリトリバー犬、ルーシーは60匹を超える出産が報告されており、体はもうガタガタだ。生涯一度もシャンプーをされたこともなく、耳はただれ足にはまだ治っていない傷が報告されていた。そして発見されたときには、またも妊娠中だったという。
ルーシーは無事6匹の子を出産した。そして、それが彼女の悲惨なパピーファクトリー生活の終わりを意味している。その後は、保護親を見つけて静かな余生を送ることになる。
パピーファクトリーには、沢山の盲目犬もいた。白内障で視力を失った犬もいれば、異常出産で眼球のない犬もいた。毛玉で見るも無残だったシーズーのファーガスは、その後手術で左目だけは視力が回復し、保護親のもとで里子に出されるための社会訓練を行なっている。
目のないプードル、ダスクは、優しいコンパニオンの犬がいる家庭で保護され、現在ではそのコンパニオン犬の助けで生活に支障がなくなるまで訓練が続けらている。
エイミーはリトリバー犬。保護されたときには、恐怖のため完全に石のように固まってしまい動くことさえできない。その後シェルターで他の犬との生活を経て「犬との関係」は復活したが、いざ人間と1対1で向き合うと恐怖で動けない。カタトニア、緊張症とも呼ばれる症状だ。
その後保護親の元で人間との信頼を取り戻したが、それは3ヶ月もあとのことだった。どのような虐待を受けていたのかは今では知る由もない。が、エイミーはその後新しい名前をもらい、里親の家で幸せに暮らしているという。
さて、その肝心のパピーファクトリーのオーナーだが、先日判決が下った。「動物への虐待とケア放棄」のため約300万円の罰金、そして3年間3匹以上の動物飼育禁止だった。オーナーの持っていた牧場とネットの仔犬売買サイトは閉鎖。
日本でも同様の「仔犬製造工場」崩壊が問題になっていると聞くが、オーストラリアも同じようなものだ。RSPCAでは、独自のキャンペーンを行い、「仔犬製造工場を閉鎖しよう」というサイトで署名を募っている。署名を集めて政府に働きかけるためだ。
こうした悪徳ブリーダーたちを一掃はできないかもしれない。
ただし、わたしたちはそれを知ることで、インターネットなどで安易に仔犬や仔猫を購入してはいけないという警鐘を受け取ることができる。
そして、できることをできるだけ。わたしは保護親にはなれないのでせめて寄付だけでも。
だから、資金がなく困っている小さなシェルターには、時々ささやかな寄付をさせてもらっている。キャンペーンなどには目を通して署名もちょんちょんと。
こうした不幸な犬や猫の話は胸がしめつけられる。何かしなければ、と切実に思う。
<今日のオマケ>
わたしがちょうどこの記事を書いていたときのテーブル回り。
昨日は遅くまでお出かけして寂しい思いをさせてしまった。そんな次の日の金曜日は二日酔いということもあり(笑)、静かにひとりと2匹で過ごしている。
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日本ではちょうど1年前、動物愛護法改正にかかるパブコメ募集という
一大イベント?があり、私もはじめて(遅っ)犬猫の悲惨な現実を
少し勉強しました。パピーファクトリーもその時知った実態…
猫だって、同じような状況があるでしょう。
こんなことが未だに横行しつづける事実に、目をそむけてはいられませんね。
とはいえ行政の対策は亀の歩みで…はがゆいっ。
動物の生命を尊重できない人が、それが教えられていない子どもが、
まっとうに自他を愛し認めて生きていくことなんてできないと思うのですが…
まずは草の根的にでも、自分にできるかたちで意思表示していくことが大切ですね。
あいちゃん、すーちゃんは本当に幸せだぞ〜ママが二日酔い?ノープロブレム!
(大丈夫ですか〜がびさん^^;)
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ああ…毎週のように…どこかのブログでこのような崩壊をはじめとする動物たちの悲劇を見ます…。
どうしてこういうことってなくならないのでしょうね。
日本でもブリーダー崩壊とかよく耳にしますけど…。
もともと動物が好きでやってるんじゃないの?っていう。
本末転倒。意味が分かりません。
アニマルポリスがあるところならまだ良いですけど…。
日本は無いですもんね。
最後のあいちゃんすーちゃんのお写真に癒されます。
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夏休みに入っちゃって、夫と毎日ラップトップ争奪戦に。。。(そして負けるのは私。怒)
久しぶりに、順々に読ませてもらいました♪
あいちゃん、すっかり大人になったなぁ!!貫禄も十分で、顔がすっごく大人びてますね。
オーストラリアにもRSPCAがあるんですね!リハビリや保護に誠実に取り組む姿にとても尊敬します。
ルーシーや他の犬の悲しそうな目に胸を突かれました。
実際に猫ズを飼う様になって、私に寄せてくれる絶対的な信頼をみると、それはどうあっても裏切るべきではないと思うんだけれど、こういうブリーダー達にとっては、ただの生産工場、ただお金を得る手段、ってどんどん感覚がおかしくなっていってしまうんですかね。ホントに残念。。。せめて、少しでも多くの同じような状況におかれた動物達が保護されますように、と願っています。
イギリスにいた時は、とても身近にチャリティー団体があって、支援もしやすかったけれど、ドイツに来てからは言葉の壁もあって、気になりつつも何もできてない自分をちょっと反省しました。
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★usainuさんへ:
あ、そのパブコメ募集、わたしも書きました。
自分で考えてこうしてコレもアレもとなが~いコメントを書いて送ったら、あとから名前を書くだけにしておいてくれたテンプレートをダウンロードできるサイトがあって、ありゃ。親切だなあ…。最初からそれを元にして書けばよかったとあとで思いました。
行政はこちらも亀サンですわ。でも、今年11月から猶予期間1年というのが始まる猫法に期待したいです。猫はいまだに保護動物に対する「害獣」扱いをするひとが多いオーストラリアです。外飼いをして去勢も不妊もさせない飼い主がいるからだろっと怒りを覚えます。
(PS:二日酔い完治しました。1日苦しんだので当然ですが。うう)
★Kotoraさんへ:
そうそう、そうなんです。ブリーダーをやっているからには「好きで」始めただろうと思うんですが、どこでどう狂っちゃったんでしょう。商売にしてしまったからなんでしょうか。
オーストラリアはRSPCAが結構見張っていますが、それでも色々な事件は起こります。日本のほうがヒドイけれど。だって、ほとんど行政は見て見ぬふり、ボランティアの保護活動をするひとたちにまかせっきりですから。
★tsukikumoさんへ:
わー、おひさしぶりです!ラプトップ奪還ですね(笑)!
こういう仔犬生産工場は許せません、ホント。いや、そうは言っても、あいちゃんをもらったブリーダーも規模は小さいけれど何だか同じような気がします。色々ありましたから。
ドイツは、殺処分ゼロの国として、とても有名ですよ!
シェルターも他のどの国よりも完備していると聞きます。殺処分ゼロの裏には、やはり行政側の管理と個人ボランティアの力が徹底しているのでしょうね。毎年何十万もの犬猫が殺される日本やオーストラリアはまだまだ学ぶところが大きいと思います。