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裏庭の野良猫母子 その9「母猫捕獲」

Trap-Neuter-Return(略してTNR)は米国で始まった猫救済のためのボランティア活動のことだ。野良猫を捕獲して避妊/去勢手術を施し、また元の場所に放す。「殺すより、まず増やすな」をモットーに、現在ではクリニックではなく移動用のシャトルバスの中で行われることも増えてきている。中には手術設備が整えられ、手術台も大抵3つ備え、手術はそのまま放すことを前提に最小限の傷しかつかないような方法で行われる。アメリカでは、このシャトルで週5日毎日20匹の手術をこなす州もあるという。

日本でも少しずつ広まっているようだが、わたしは恥ずかしながら今までこのような活動があることさえ知らなかった。「母猫が薬殺されるくらいなら、わたしが費用を持って避妊手術を受けさせ、外猫として放してやってもいい。餌の面倒ぐらいは見られるのだから」と考えたとき、わたしはこのTNRの存在さえ知らずにいたのだった。

まず始めに書いておきたいのは、オーストラリアにはこの「TNRという活動が存在しない」ということだ。いや、「存在しない」のではなく、「存在させたい」と活動する団体や個人は多いがその導入までには至っていない。政府や自治体の補助金もないし、獣医の有志も集まらない。アメリカやヨーロッパに比べて、オーストラリアが猫救済に関して30年は遅れている、と言われる所以である。

Cat Havenは猫救済シェルターだが、いわゆる”No Kill Shelter” (殺処分のないシェルター)ではない。裏には殺処分室さえ備えている。インターネットのホームページにはそれが堂々と書かれていないだけだ。「野良猫として喧嘩や事故で命を落とす悲惨な生活を送るよりは」という名目のもと、毎年何千もの「健康な」猫たちが殺処分されている。
仔猫は比較的里親が見つかる確率が多く、まずほとんどがシェルターから「生きたまま」出て行くことができる。だが、それが成猫となると話は違う。年々増え続ける野良猫の数に比例して、こうした慈善団体の経営は苦しくなるばかりだ。シェルターの場所確保の問題もある。
元飼い猫として持ち込まれた猫に比べて、野良猫は、スタッフの手に慣れない限り殺処分される確率が高い。猫の保護主も、慣れない野良猫を嫌がるし、第一ほかのおとなしい保護猫たちと共存することさえ難しい。

早朝の補習があったため、母猫捕獲を今晩にせざるをえなかったわたしは、学校で昼休みにもう1度Cat Havenに連絡した。そして、母猫は持ち込まれたあとどうなるのか、念を押したのだった。「慣れてくれれば、里親を探す道も開けるんですけどねえ」という言葉に、「それは殺処分も可能だという意味ですか?」ともう1度聞いた。「そうです。でも野良猫としての悲惨な生活よりは、それが猫の幸せなんですよ」不治の病でもない健康な猫を処分することが、なぜ幸せに繋がるのか問いただしたかったけれど、シェルターのスタッフと喧嘩をしてみても始まらない。殺処分の可能性がある限り、シェルターへの持ち込みは最後の最後の手段だ。

次に電話したのは、自宅近くの獣医クリニック。女医と話す。猫AIDS検査とツベルクリン反応検査をして、陽性でなければ即避妊手術。陽性の場合は残念ながらその場で薬殺。自治体の補助は出ないので、全て自費。「うちで保護する猫ですので」ということにして、即明日午前中の持ち込みを予約。費用は、猫が野良猫で扱いが難しいとのことで「持ち主とその保証のない猫」の加算が入り、検査と手術そして丸1晩麻酔が覚めるまでの預かり込みで約5万円ほど。
「それではお願いします」と言ったときの、女医の半信半疑の「本当にやるんですか」の声。ああ、やるよ。もちろんだ。

帰宅してまた罠の準備。母猫は今晩も隣のニワトリ小屋の上からじっとわたしの帰りを待っていた。すとんと落ちるドアの音で、彼女が捕獲されたことを知る。かなり暴れたが、そのまま毛布をかぶせて庭の一角に置いた。明日の朝の手術があるので今晩は何も食べさせられないが、餌として置いた少々のツナくらいは大丈夫だろう。暴れたのは最初の数分間だけで、後は毛布の下のケージの中で静かになった。避妊手術ができたら、そのままうちの外猫として何とか面倒だけは見るからね。仔猫を全員取られただけではなく、餌をもらおうと待っていたわたしに自分も捕らえられた母猫。かわいそうに、かわいそうに。

明日も早くから支度をして、獣医クリニックからすぐに学校に向かわなければならない。「バカだなあ、わたし」と声が出た。わたしに慣れるわけもない野良猫にこんな大金をかけて。でも、せっかく仔猫たちを助けられたのに、母猫だけ無視するわけにはどうしても行かない。しかし、帰宅する道沿いでわたしに声をかけた反対側の隣人の話では、どうも2匹の雄猫が彼の裏庭で喧嘩していたらしい。一緒にいた雌三毛猫も怪我をしたみたいだ、と言う。どう考えてもこの母猫の取り合いだと思われるが、じゃあ避妊手術をしても放したらまた危ないじゃないか。どうする、どうする。
ベッドで布団をかぶってはみたが、あまりの責任の重さにひとりでいることが息苦しくなった。

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